エストニアは北ヨーロッパに位置しているため、夏の夜は白夜と呼ばれ、日没が遅く、日の出が早いために夜は暗くなるというより薄明るいままです。夏至祭が開かれるのは、北半球の一年で最も昼が長い日の夏至と重なります。例年、夏至は6月21日頃で、エストニアの夏至祭は6月23日の前夜祭から始まり、24日に終わります。エストニアの人々は、一年で最も明るいこの夏至祭の日はほとんど眠ることなく、たき火の光に顔を照らされながら野外でお祝いをします。
古代の民間伝承に由来する聖ヨハネの日は、干し草作りの季節の始まりを告げるものです。これは、エストニアにキリスト教が伝来するずっと以前から祝われていたものです。このお祝いにはキリスト教の名前が付けられましたが、異教の伝統は今日でも健在です。1919年以降、夏至祭の6月23日は戦勝記念日と重なっています。この日はエストニア軍が独立戦争でドイツ軍に勝利した日でもあるのです。
夏至の夜は、多くの民俗信仰と結びついています。子供たちは夜明けまで起きていて、若い恋人たちはこの夜にしか咲かないと云われている幸運のシダの花を探して森を歩き回ります。そして運良く蛍を見つけたら、幸運が訪れるかもしれません。また、若い女性の間では、9種類の花を集めて枕元に置くと未来の結婚相手が夢に出てくると云われています。冒険好きな人は、商売繁盛を願ってかがり火の上を飛び越えたり、村にある大きな木のブランコでできるだけ高く漕いだりする、などが知られています。さらに現代的な伝統として、歌ったり踊ったり、そして昔の民話を披露することもあります。
今日、夏至祭は国民の休日であり、都会の人々は美しい田舎に行く機会となっています。庭でバーベキューをしたり、森でピクニックをしたりと、友人や親戚とのんびり過ごすことが多いようです。多くの地方都市や村では、ライブ音楽と巨大な焚き火を伴う夏至祭がコミュニティ全体として1年のハイライトとなります。
ここでは、エストニア全土で夏至祭を祝う場所をご紹介します。(*はエストニア語のみ。)
タリンとその周辺
エストニア中央地域
エストニア北東部
タルトゥとその周辺
パルヌとその周辺
エストニア南部
島
Midsummer eves in Estonia from Visit Estonia on Vimeo.