伝統的な服装 - エストニアの民族衣装

伝統的な服装 - エストニアの民族衣装

Source: Toomas Tuul

歌と踊りの祭典では、エストニア民謡のメロディに合わせて、柄物のスカートがくるくると回り、フラットシューズを履いた軽快な足が宙を舞います。色とりどりの民族衣装は、伝統的な過去から受け継ぐデザインです。

ディテールの美しさ

エストニアの伝統的な民族衣装は、リネンのシャツや女性用のウールのスカート、男性用のズボン、ニットの靴下、刺繍の入ったアクセサリーやビーズなど、ヨーロッパの多くの地域のものと基本形が似ています。華やかな民族衣装は、結婚式やお祭りなどの特別な日にしか着用されず、日常の服装は農耕生活に適した機能的で飾り気のないものでした。

職人技が光る

セトの女性は、大きな円錐形のブローチや、セト地方特有のネックレスを身に着けます。

Photo by: Kaspar Orasmäe


これらの衣装を特別なものにしているのは、その装飾の細部に込められた意味です。エストニア各地の民族衣装には、衣装の配色や、スカートの縞模様にも意味があります。既婚女性は、髪を隠し、エプロンをしていることで、独身女性と見分けることができました。南東部のセト地方では、花嫁は結婚式で最低2キログラムの銀のアクセサリーを首から下げていました。そして、ブローチや手袋は、身につける人を精霊から守ると信じられています。ハリステ地方では、男性は亜麻の種を蒔きに行くとき、収穫が失敗しないようストッキングを裏返しにして履いていました。


回転するストライプのスカート

タリン近郊の野外博物館にて、ダンサーたちがダンスを披露。

Photo by: Toomas Tuul

祭りの晴れ着

民俗衣装は民族の誇りの象徴であるため、ソ連時代には着用されていませんでしたが、1990年代の独立以降、エストニアの民俗衣装は復活を遂げました。現在、エストニア人が民族衣装を着用するのは、卒業式などの特別な日や祝日、文化イベントなどでしか見られませんが、セト地方キヒヌ島などは例外で、今でも日常生活の一部として着用されています。民俗衣装は職人に特別注文することもできますが、費用がかかり、完成までに数ヶ月程かかります。現在でも自分で作る人がおり、手芸教室も開かれていますが、技術と忍耐が必要な長い作業です。

手刺繍

もともと、植物の根やハーブを使ってリネンやウールの生地を染め、赤などの豊かな色彩を出していました。

Photo by: Kaspar Orasmäe


エストニアのほとんどの地域では特別な日以外は民族衣装を着用しないのですが、展示会場では民族衣装を間近に見ることができます。タルトゥのエストニア国立博物館、ヴィリャンディのへイムタリ家庭生活博物館、タリンのエストニア歴史博物館野外博物館をチェックしてみてください。そして、エストニアの手工芸品をお土産にしたいという方は、ストライプやレースなどの伝統的な要素を取り入れた、地元のアーティストによる現代的なお土産を探してみてください。

以下のショップで、地方のデザインを紹介しています:

資料と参考文献: Estonica.org, Eestikultuurist


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