エストニアのサウナ、2023年はアツくなる!

エストニアのサウナ、2023年はアツくなる!

Source: Martin Mark

今年はエストニアの"リアル"なソーシャルネットワークである“サウナ”の年になります。サウナの石が熱くなる時、エストニア人は心を開きます。共有と繋がり、浄化、そしてリラックスのための場所がサウナなのです。サウナは、オンラインよりもリアルな方がより良い結果を生む、エストニア独自の社交の場です。
今年はぜひエストニアを訪れ、「サウナ・イヤー」をお祝いましょう!

エストニアにおけるサウナの歴史

エストニアでは200年以上前から薬湯や保養施設が普及していましたが、エストニアのサウナの伝統は更に古く、サウナ入浴に関する最初の文書記録は13世紀にまで遡ります。かつてサウナは家の中で最も清潔な部屋であったことから、分娩室として、また死期を見届ける場所や病気の治療法として利用されてきました。燻製室としても利用されていたために南エストニアではスモークサウナの伝統が生まれました。

エストニアのスパやウォーターパークには、サウナセンターが併設されています。

Photo by: Mart Vares, Visit Estonia

エストニアでサウナに入るのはいつ?

正解:いつでもOK!

エストニアのスパやウォーターパークには、サウナが併設されています。

Photo by: Ken Oja, Visit Estonia


エストニアのサウナの伝統は、今日でもこの国の重要なアイデンティティーの一部となっています。新しく家を建てるときは、今でもまず始めにサウナ小屋が建てられ、ライフスタイルの中では多くの点でサウナを中心に回っていることがあります。今では出産や死の瞬間がサウナで起こることはありませんが、サウナは日常生活の重要な一部となっています。今でも "Laupäev on saunapäev"(土曜日はサウナの日)という言葉を耳にすることもあります。

サウナというと冬のイメージがありますが、エストニア人は一年中サウナに入ります。伝統的なのは木曜日と土曜日、そしてクリスマスイブや大晦日、6月23日の聖ヨハネ祭の前夜など、大きな祝日の前の夜にはサウナに入る習慣があります。他にも家族の集まりや誕生日を祝うなど、サウナに行く機会はいつでもあります。エストニアに来たらサウナに入るのが一番"like a local"(現地の人らしい)体験になりますよ。

エストニアのアツいサウナを見つけよう!


サウナの正しい入り方とは?

伝統的なエストニアのサウナは、通常、その家の母屋から少し離れた場所に立つ小さな木造の小屋です。しかし、地下室やテラスに隣接した部屋にサウナがある場合もあります。アパートなどでは、バスルームの隣にサウナがあるところも多いです。サウナは男女別々に入ることが多く、水着は禁止されていますが、タオルは多少大目に見てもらえます。

サウナはあらかじめ温めておく必要があるため準備が必要です。木造サウナは2~4時間、電気サウナはもっと早く温められるものもあります。

サウナは老若男女、地元の人も観光客も、みんな一緒です!

Photo by: Tõnu Runnel, Visit Estonia


サウナで一番大切なものは、発汗を促す蒸気です。エストニア語には「leil」という言葉があり、"サウナで熱い石に水をかけて発生させる蒸気"という意味です。このレイルにはさまざまな効果があります。肌を清潔にし、心拍数を上げ、サウナに座ると呼吸がし易すくなってリラックスするのを感じるかもしれません。熱は気管支を広げ、関節を動きやすくさせるという魔法をかけてくれます。サウナで有名な「viht」も、この「leil」とともに登場します。ヴィヒタは白樺の枝を束ねたもので、サウナ内の空気の層を混ぜながら、体を勢いよく叩いて体温を上げ、マッサージのような役割を果たします。

身体の芯から熱くなった後は、クールダウンしましょう。サウナは海や川、湖、池のそばに建てられていることが多いので、入浴後は水に飛び込んでクールダウンすることができます。急激な温度変化で血流が促進され、免疫力が強化されます。冬場は氷に穴を開けてから入ったり、雪の上を転げ回ったりと、勇敢なサウナ通も現れます。サウナの外で冷たい飲み物を飲みながら、澄んだ空気の中に立つのもおすすめの過ごし方です。


ユネスコに登録された
エストニアのスモークサウナの伝統

南エストニアのヴォル地方(Võromaa)では、スモークサウナは日常生活の重要な部分を占めてきました。伝統的なサウナと同様、エストニアのスモークサウナはレンガ造りのオーブンに薪を入れて温める小さな家屋から構成されています。しかしスモークサウナには煙突がなく、煙をサウナ内で循環しながら部屋を温めます。サウナに入る前には火が消え、ほとんどの煙は室内から排出されます。

2014年、ユネスコはエストニアのスモークサウナでの入浴(方法)を無形文化遺産に登録しました。ヴォル地方、特にモースカ・ファーム(Mooksa Farm)ではスモークサウナをより忠実に守っています。モースカ・ファームのホストはEdaと彼女のパートナーUrmasで、彼らは忠実にスモークサウナの習慣と知識を受け継ぎ伝えています。

 スモークサウナの儀式は多くのステップがあり、慎重に行わなければなりません。しかし何より大事なのは、何も考えずに立ち止まり、あらゆる世俗的な心配事を頭から切り離し、リフレッシュし、活力と癒すための時間を自分に真剣に与えようとする覚悟が必要です。そしてフェルトの帽子をかぶり、薪の燃える香りが漂う神聖な部屋に入ります。熱した石に水をかけると湯気が立ちのぼり、心が澄み、大地と、そして祖先とつながることができると言われています。次に、植物と塩を混ぜたもの(スクラブ)を身体にすり込んだら、白樺の枝で叩き皮膚の角質を取り除き、血行を促進する「ウィスキング」をします。そして、近くの氷の海に飛び込んで体を冷やし、洗い流します。

エストニアならではの、時代を超えたスモークサウナで、服も、抑制も、気遣いも捨て去りましょう。

Photo by: Ekvilibrist Estonian Saunas, Visit Estonia


エストニアのスモークサウナについての詳細


エストニアのサウナ・イヤー

 2023年はエストニア・サウナイヤーです。エストニアのルーラルツーリズム協会は、このサウナ・イヤーに年間を通じてイベントを開催し、エストニアサウナの伝統を守り継承することを目的としています。サウナのしきたりや特徴的なプロダクツ、地域コミュニティ、そしてサウナ業界の起業家などにスポットライトを当ててゆきます。

エストニアの冬の都、オテパー(Otepää)で開催されるヨーロッパ・サウナマラソンは、今年初めの大きなイベントでした。オテパーは10年以上にわたってサウナマラソンを開催しています。エストニアだけでなく、世界各国から参加するチームには、サウナを探すための地図が渡されます。各サウナを訪れた後、出場者は時間内にスタート地点に戻り、いくつかのカテゴリーからお気に入りのサウナに投票し、優勝するチャンスを得ます。

各サウナでは、カラオケやバンド演奏などを準備したり、ドリンクやスナック菓子、サウナでの喫煙など、サウナの経営者たちは工夫を凝らして票を集めます。

ヨーロッパサウナマラソンは、毎年オテパーで開催されています。

Photo by: Merike Toomet, Visit Estonia


サウナイベントは年間を通して開催される予定です。

1月1日 サウナ開放日

2月:ヨーロッパ・サウナマラソン(Otepäa)

3月11日:オニオンストリートでのサウナフェスティバル

6月:ナショナル・サウナデー

6月:サウナマラソン(Kihnu)

8月5日~6日:エストニアサウナ・カルチャーデイ(Narva-Jõesuu)

10月21日:サウナ・フェスティバル(Rõuge)


ぜひエストニアを訪れる前にSauna 2023のウェブサイトをチェックし、正確なイベント情報をゲットしてください。

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